シェリー樽熟成のウイスキーを探しているけど、その中でも全期間をシェリー樽で熟成しているウイスキーを探している・・・という人のために、シェリー100%熟成のウイスキーをまとめてみました!!
いざ調べてみると、現在入手できそうなものでオールシェリーのウイスキーは思ったほど多くなく、貴重なものであると今回再確認できました。
一般的な「シェリー100%」と「シェリー樽熟成」の中に含まれる「ウッドフィニッシュ」(後熟)との違いもさらっと書いていますので、よければ参考にしてください。
- ウイスキーの熟成に使われれる主な樽の種類
- シェリー酒の種類
- カスクフィニッシュ(ウッドフィニッシュ)とは
- 100%シェリー樽熟成のウイスキー7選!!
- ★ グレンドロナック 12年
- ★ マッカラン 18年 シェリーオーク
- ★ カバラン トリプルシェリーカスク
- ★ キルホーマン ロッホゴルム
- ★ タムデュー12年
- ★ アラン シェリーカスク
- ★ アベラワー アブーナ
- ★ ボウモア18年 ディープ&コンプレックス
- まとめ
ウイスキーの熟成に使われれる主な樽の種類
スコッチの熟成に使われている樽(カスク)の種類には
・バーボン樽
・シェリー樽
・ミズナラ樽
・ポートワイン樽
などがあり、ほかにもいろいろな種類があります。一般的にはバーボン樽でウイスキーを熟成するとバニラの香り、シェリー樽で熟成するとドライフルーツやシナモン、ミズナラは線香、白檀(びゃくだん)や伽羅(きゃら)のようなオリエンタル(東洋的)な香味がつくとされています。
「シェリー」とは三大酒精強化ワインの一つ「シェリー酒」のこと。ウイスキーでいうシェリー樽(シェリーカスク)とは、もともとシェリー酒を詰めていた樽からシェリー酒を抜き出し、その空樽にウイスキーを詰め熟成させている商品。シェリーが入っていた樽を使用しているので、シェリー特有の風味がウイスキーにつきます。
自分好みのウイスキーを探すためには、いろいろな樽の種類にウイスキーを飲んでみるといいでしょう。
シェリー酒の種類
そのシェリー酒にもいろいろな種類があります。
●「フィノ」・・・辛口
●「マンサニージャ」・・・サンルーカル地方でつくられるフィノ(辛口)タイプ
●「アモンティリャード」・・・フィノの酸化熟成タイプ
●「オロロソ」・・・酸化熟成させたシェリー。「香り高い」という意味を持つ。
●「ペドロヒメネス」(Pedro Ximenez)・・・極甘口
●「モスカテル」・・・ペドロヒメネスより軽い極甘口
などがあります。
上から4番目まで「フィノ」「マンサニージャ」「アモンティリャード」「オロロソ」は辛口、「ペドロヒメネス」「モスカテル」の2つは極甘口です。同じシェリー樽熟成といえど、タイプは異なるので自分の好きなシェリーの種類を見つけてみてください。
カスクフィニッシュ(ウッドフィニッシュ)とは
スコッチのほとんど(約9割)はバーボン樽で熟成されています。入手のしやすさと他の樽に比べ安価だからと言われています。ですのでほとんどのウイスキーはバーボン樽で熟成されています。
ウイスキーの名前で「〇〇カスクフィニッシュ」(〇〇ウッドフィニッシュ)という名前のウイスキーがあります。
例えば「グレンモーレンジ ラサンタ 12年 シェリーカスクフィニッシュ」という商品。
これは10年間バーボン樽で熟成したあと、オロロソシェリー樽で2年熟成させたものです。その言葉どおり、最後の2年間だけをシェリー樽で熟成させたものなのでシェリー100%熟成ではありません。カスクフィニッシュさせていることを「後熟」ともいいます。
100%シェリー樽熟成のウイスキー7選!!
カスクフィニッシュが分かったところで、今回は現在入手できそうな「100%シェリー樽熟成」(オールシェリー)のウイスキーをご紹介します。
シェリー樽は、数あるウイスキー熟成に使われる樽の中でも特に人気のある種類です。シェリー樽自体品薄で価格が高騰し入手が難しくなっている中でシェリー樽のウイスキーの価値も上がってきています。
カスクフィニッシュではない、熟成の最初から最後までシェリー樽のみを使って熟成しているウイスキーは今回調べてみると多くはなかったです。今後も少なくなってくるのではないでしょうか。
それではどうぞ!!
★ グレンドロナック 12年
ウイスキーを知っている方ならおなじみすぎる銘柄。よく「シェリー樽熟成のエキスパート」と呼ばれ、シェリーが好きな方なら押さえておくべき商品。
オロロソ(辛口)とペドロヒメネス(極甘口)のシェリー樽のみで熟成。甘さと辛さが融合した味わいで評価も高いです。
辛口のオロロソと極甘口のペドロヒメネスを熟成した、ヨーロピアンオークのシェリー樽のみを使用。フルーティさとビターのバランスの良いハイランドモルトの入門編。
※アサヒビールHPより
★ マッカラン 18年 シェリーオーク
マッカランはウイスキーファンならずとも一般的にも名前が知れ渡っている銘柄。こちらは「シングルモルトのロールスロイス」と呼ばれ、高級なウイスキーというイメージで浸透しています。
マッカランもいろいろな種類がありますがシェリー100%のマッカランといえば黒の箱が特徴の「マッカラン シェリーオーク」シリーズ。
マッカランのシリーズには、現在の一般的ラインアップでは、
・マッカラン シェリーオーク (黒い箱)
→自社管理のスパニッシュオークシェリー樽でのみ熟成。100%シェリー。
・マッカラン ダブルカスク (濃い青い箱)
→ヨーロピアンオークとアメリカンオークのシェリー樽で熟成。100%シェリー。
・マッカラン トリプルカスク (水色)
→ヨーロピアンオークのシェリー樽、アメリカンオークのシェリー樽、バーボン樽の 3種の原酒を使用。100%シェリーではない。
があります。
黒い箱の「シェリーオーク」、濃い青い箱の「ダブルカスク」がシェリー100%、水色の「トリプルカスク」はバーボン樽熟成原酒も入っているのでシェリー100%ではありませんので注意してください。
マッカランのシェリーといえば黒い箱の「シェリーオーク」のイメージです。ダブルカスクよりも店頭で見かける頻度は少ないです。ぜひシェリーオークを飲んでみてください。シェリーオークには「12年」「18年」「25年」「30年」があります。
★ カバラン トリプルシェリーカスク
こちらは2021年11月下旬に世界同時発売されたもの。「カバラン」は台湾のウイスキーで、亜熱帯の気候の土地で熟成されるため南国感あるトロピカルな風味に仕上がります。
カバランは2008年にウイスキーを初出荷した比較的新しい蒸留所。しかしながら世界の数々のウイスキーコンペティションで賞を総ナメしているウイスキー界の風雲児的存在。そのカバランが3種類にシェリー樽を組み合わせた初の商品がこの「トリプルシェリーカスク」
トリプルシェリーカスクはオロロソ、ペドロヒメネス、モスカテルの3種のシェリー樽で熟成。構成比率は明らかではないですが、オロロソの味わいが主体のようです。
オロロソシェリー樽由来のドライフルーツの余韻。まろやかな風合いで、暖かく滑らか。砂糖漬けのフルーツ、キャラメル、蜂蜜の甘さを想わせて、まるで活気あるフラメンコダンスのように味蕾をくすぐります。多層ながらも完璧なバランスで、いつまでも記憶に残る味わいです。
※リードオブジャパン㈱HPより
トリプルシェリーカスクは特に限定品との情報はなさそうですが、ネットショップでも出品しているところは少ないようです。
★ キルホーマン ロッホゴルム
「キルホーマン」はスコッチの中の「アイラ」に属している蒸留所。アイラといえば「アードベック」「ラフロイグ」に代表される強いピート感やスモーキーさでおなじみの地域です。
キルホーマンもアイラモルトらしいピートの強さの」ウイスキーを生み出しています。定番商品は「マキヤーベイ」「サナイグ」。ともにフェノール値50ppmということでヘビーピーテッドタイプのシングルモルト。
そのキルホーマンのオールシェリーがこの「キルホーマン ロッホゴルム」。年に1回だけリリースされる限定品で、世界で17,000本、日本では990本のみ入荷の希少な商品です。
直近の2021年リリース分のシェリーの種類はオロロソで、9年以上熟成された2011、2012のヴィンテージのものを使用。キルホーマンの特徴であるパワフルなピートとスモーキーさにシェリーのアロマが調和されたリッチな味わいとなっています。
キルホーマンのしっかりとしたスモーキーさと共に拡がるオロロソシェリー樽由来のダークベリーやファッジといったアロマ。そしてドライフルーツの凝縮感ある味わい、スパイスの心地よいアクセント、塩気を含んだピート感がお楽しみいただけます。ピートとオロロソシェリー樽の特徴が見事に融合した、年に1度のリッチな味わいをぜひお見逃しなく
※ウィスク・イーHPより
★ タムデュー12年
タムデューはスぺイサイドにありボトラーズのイアンマクロードが所有している蒸留所。今回紹介する商品の中では知名度は高くないのではないでしょうか。ですので他の銘柄より比較的手頃な価格で入手できます。
設立当初からシェリー樽にこだわり、シングルモルトはすべてシェリー樽にて熟成しています。タムデューは定番の「12年」だけでなく「15年」「バッチストレングス」などがあります。もちろんすべてシェリー100%で、3種類ともアメリカン&ヨーロピアンオロロソシェリー樽熟成となっています。
★ アラン シェリーカスク
スコッチはアイランズに区分される「アラン」。2019年にパッケージを大幅にリニューアルし、風格も印象良く様変わりしました。
アランの主要商品である「アランモルト10年」はバーボン樽熟成原酒をメインにシェリー樽で熟成させた原酒をヴァッティング(ブレンド)しています。
今回紹介する「アラン シェリーカスク」はどのタイプのシェリーを使っているかは分かりませんでしたが、熟成の全期間をシェリー樽で熟成させています。また加水をしていない「カスクストレングス」なのでアルコール度数55.8度とパワフルに仕上がっています。
アラン シェリーカスクはファーストフィルのシェリーホグスヘッドですべての期間熟成し、シェリー樽由来のリッチなフレーバーを引きだしました。
また、カスクストレングスでボトリングすることでフルボディに仕上げています。
アランらしいフルーティさとシェリー樽由来のフレーバーがバランス良く調和します。※ウィスク・イーHPより
★ アベラワー アブーナ
スぺイサイドに位置する蒸留所。アベラワーはシェリー樽とバーボン樽の2種類の樽を使って熟成する「ダブルカスクマチュレーション」という手法でウイスキーをつくっています。そのためアベラワーの「12年」「16年」「18年」にはそれぞれ「ダブルカスクマチュアード」という文字が商品名に入っています。
しかし「アブーナ」はダブルカスクマチュアードの文字はなく、スパニッシュオークのオロロソ・シェリー樽による熟成で完成させた商品。アランシェリーカスクと同じくカスクストレングス仕様となっておりアルコール度数は約60度。濃厚でインパクトの強い1本です。
様々なスパイス、プラリネ、スパイスオレンジ、リッチで深みのあるオロロソ・シェリーの香り。味わい:オレンジ、ブラックチェリー、ドライフルーツ、ジンジャー、ダークビターチョコレート、 シェリー、オーク、フルボディでクリーミー。フィニッシュ:強くて深い、エキゾチックなスパイスのビタースウィートさ、ダークチョコレート、オーク
※ペルノリカールHPより
★ ボウモア18年 ディープ&コンプレックス
「アイラモルトの女王」と称されるボウモア。同じアイラの「アードベッグ」「ラフロイグ」「キルホーマン」ほどピート感やスモーキーさはありませんが、その上品な飲み口でとても人気のあるウイスキーの一つ。
ボウモアもシェリー樽熟成でおなじみですが、その中でもおすすめなのが「ボウモア
18年 ディープ&コンプレックス」。通常の18年はシェリー100%なのかどうかは調べても不明でした。(サントリー公式には「シェリー樽原酒の比率を高めることで、ボウモアの特徴のスモーキーさの中にシェリー樽由来のスウィート感が際立つ、贅沢なモルト。」とあります。)
↓ 通常の「ボウモア18年」 ↓
しかしこの「ディープ&コンプレックス」はオロロソ・シェリー樽とペドロ・ヒメネス・シェリー樽で熟成した原酒のみを使用しています。
ほどよいピートと華やかなシェリー樽熟成原酒由来の香味がうまくマッチしています。18年熟成ということもあり、リッチな飲み心地、バランスの取れた味わいは秀逸です。
まとめ
いかがでしたか?今回はシェリー樽100%で熟成されたウイスキーでおすすめのものをまとめてみました!!ウイスキーの熟成に使われる樽の中でもシェリー樽熟成のものは特に人気があります。しかしながら近年はシェリー樽の不足により、長熟のシェリー100%のものは少なくなってきており、店頭で見かけることも少なくなってきました。
今のうちに飲みたい銘柄がある人はぜひお試しください!!
この記事が皆さんのお役に立てれば幸いです!!