お酒には日本酒・焼酎・ワイン・ウイスキー・リキュール・スピリッツなどいろいろな種類があります。その中でも日本酒と焼酎は日本が誇る伝統的なお酒です。
そして日本酒だったら、お米の種類、純米かどうか、お米の磨き具合など、さまざまな要素が絡み合い味わいが決まっていきます。
焼酎も同じく、メジャーなものでは麦・芋・米・栗など、あまり知られていないところでは、じゃがいも、れんこんなどの焼酎もあり、実は約50種類の原材料で製造することを許可されています。
また、麹菌の種類(黒麹・白麹・黄麹)や、蒸留方法、仕込み桶などの違いにより味わいが決定します。
今このページを見ているか方はおそらく「これから芋焼酎を飲みはじめてみようかな」と思っている方ではないでしょうか?
そこで今回は初心者でも飲みやすい芋焼酎の探し方、選び方、さらにはおすすめの芋焼酎を解説・ご紹介していきます!
麦・芋・米はどれが一番飲みやすい?
メジャーな焼酎の原材料は麦・芋・米などがあります。その他にも栗・黒糖・紫蘇(しそ)がその次に一般的でしょうか。そして店頭でも全然見かけない、皆さんあまりご存知ない種類の焼酎がたくさん存在します。
メジャーな焼酎である【麦・芋・米】のなかで一番飲みやすいのは米焼酎ではないでしょうか。その次に麦、最後に芋となります。(銘柄によってはこの順番ではないかもしれませんが、一般的には米・麦・芋の順番で飲みやすいです。)
米焼酎は、簡単に言うと日本酒を蒸留させたもの。米好きな日本人には一番馴染みのある原材料で造られています。吟醸酒のようなフルーティーで香りで軽快な味わいなもの多く、お米の旨味を感じることができスッキリな味わいが特徴です。
麦焼酎は麦の香ばしい香味が魅力的で、比較的シンプルな味わい。米焼酎と一緒くらい飲みやすいと思います。クセが少なくクリアで透明感のあるのが特徴。
芋焼酎は芋特有のボリューム感ある飲みごたえと深い味わいのものが多いです。「芋臭い」「臭いがダメ」という人が多く、好き嫌いが別れるところですが一番人気があるのも芋焼酎ではないでしょうか。
「プレミアム焼酎」と言われ、定価の何倍以上で取引される人気銘柄も麦・米よりも芋焼酎が多く、価格も他のものより高価です。実は私も芋焼酎が焼酎の中では一番好きです。
それでは、飲みやすい芋焼酎はどれなのか、どうやって探せばいいかをご説明していきます。
麹菌で選ぶ
ほかの麦・米などの焼酎でもそうですが、焼酎には麹菌が使われています。
麹菌の役割は、
麹菌の種類は大きく3種類あり、「黒麹」、「白麹」、「黄麹」があります。それぞれに特徴があるので順に説明します。
【黒麹】
黒麹を使って造った焼酎はコクが深く、重厚でインパクトのある味わいに仕上がります。有名どころでは芋焼酎のスタンダード「黒霧島」や、お湯割りでおいしい「吉兆宝山」、プレミアム芋焼酎【3M】の一つに数えられる「村尾」などがそうです。
【白麹】
白麹を使用して造られた焼酎は、クリアで透明感があり、すっきりとした味わいになります。「白霧島」や、「三岳」、「」などがあります。
プレミアム芋焼酎に数えられる多くは白麹で造られたものが多い印象です。芋焼酎ながら飲みやすい味わいが支持されたのでしょう。
【黄麹】
黄麹はもともと日本酒を造るときに使われていた麹。なので日本酒のようにフルーティーで比較的飲みやすい焼酎に仕上がります。後に紹介する富乃宝山などがあります。
蒸留方法
次に蒸留方法です。焼酎には「常圧蒸留」と「減圧蒸留」の二種類の蒸留方法があります。
【常圧蒸留】
一般的な焼酎はこの常圧蒸留で製造されます。一旦蒸発させて○○させて造るのが焼酎ですが、通常の沸点(90℃~100℃)で沸騰させて造るのが常圧蒸留です。
【減圧蒸留】
対して減圧蒸留とは、通常の沸点(90℃~100℃)よりも低い温度(40℃~50℃)で蒸発させて焼酎を造る蒸留方法。減圧蒸留で醸した焼酎はクセが少なく、ライトな味わいになります。
飲みやすい芋焼酎の特徴まとめ
総合すると、米か麦焼酎で、白麹or黄麹を使用しており、減圧蒸留で製造している焼酎が飲みやすい!ということになります。
今回は芋焼酎の飲みやすい銘柄を紹介していますので、白麹or黄麹&減圧蒸留で製造している芋焼酎が初心者にはおすすめです!
ただ、実は「どの麹を使っているのか」、また、「常圧蒸留・減圧蒸留のどちらで蒸留しているのか」は、ご丁寧にラベルには書いていないことがほとんどです。
麹については「黒霧島」「白霧島」や、プレミア焼酎の佐藤のように「佐藤 黒麹仕込み」、「佐藤 白麹仕込み」と書いているものも確かにあります。しかし、たいていは表記されていないものも多いでしょう。
蒸留方法も、たまに裏ラベルの説明書きに書いてあるものもありますが、ほとんどは麹の種類と同様表記されていないことがほとんどです。
なので、果たしてどれが白麹なのか、どれが減圧蒸留の焼酎なのか、今から焼酎を飲み始めたいのにさっぱり分からないと思いますのでおすすめを私がご紹介していきます。
ちなみに、そこらへんに溢れている焼酎ではなく、美味しいと評判の、ちょっとレアで付加価値のある芋焼酎を厳選しています。
初めて飲むとか、初めて自分で選んだ焼酎がイマイチだったらその後飲む気がなくなってしまいますもんね!
それでは、飲みやすくて初心者におすすめの芋焼酎を今からご紹介していきます!!
富乃宝山
この焼酎は黄麹で仕込んでおり、とてもフルーティーで飲みやすいと評判の芋焼酎です。鹿児島県の日置市にある「西酒造㈱」の商品です。
それまでの焼酎のイメージは芋焼酎を飲まない層の人など、一般的には「臭い」、「飲みにくい」というものでしたが、富乃宝山がそのイメージを払拭したといわれています。それほど飲みやすくてフルーティー、飲む人を納得させて焼酎です。女性にも人気が高く、柑橘系を思わせる香り、滑らかでキレの良い味わいが特徴です。
西酒造は2014年のIWSC (インターナショナルワイン&スピリッツコンペティション)で、「アジア最優秀蔵元」の認定を受けた由緒ある蔵です!2011年にはモンドセレクション金賞にも輝いています。西酒造は他にも高品質な芋焼酎を造っていますが、この富乃宝山が代表格でしょう。
芋焼酎のイメージを変えた革新的な富乃宝山を是非一度飲んでみてください。
おすすめはロックで飲むのが一番ですが、水割りでもOKです。
【商品名】富乃宝山
【醸造元】西酒造 (鹿児島県日置市)
【アルコール度数】25度
【使用麹】黄麹
【蒸留方法】常圧蒸留
【原料芋】黄金千貫
【飲み方】ロック、水割り
【価格】720ml 1,500円程度 (税抜)
1.8L 2,600円程度 (税抜)
川越
「川越酒造場」といえど、ご夫婦と息子さんの3人で川越を作っています。それゆえ生産本数が極僅かの、こちらもプレミアム芋焼酎の一つに数えられます。
その日の朝に掘ったばかりの芋「黄金千貫」をその日のうちに処理して83もの工程を経て丹念に造られています。
そして、なんと2002年には全日空(ANA)の国際線ファーストクラス搭載の焼酎に採用されました!ファーストクラスに採用されるということは高品質の証です。滅多に選ばれることはありません。
そして肝心の味わいの方ですが、芋焼酎といえど実は米焼酎をブレンドして造られています。そして白麹で常圧蒸留で仕込まれています。
飲みやすい米焼酎をブレンド、そしてすっきりとクリアな味わいになる白麹を使用しているのでやはり飲みやすくなっており、口当たりがよく軽やかに飲むことができます。と同時に芋の風味も確かに感じることができます。
とても希少な芋焼酎ですので、一度は味わってみてください!
【商品名】川越
【醸造元】(株)川越酒造場 (宮崎県東諸郡国富町)
【アルコール度数】25度
【使用麹】白麹
【蒸留方法】常圧蒸留
【原料芋】黄金千貫
【価格】720ml 1,600円程度 (税抜)
1.8L 3,000円程度 (税抜)
七窪
七窪(ななくぼ)は鹿児島県鹿児島市にある「東酒造㈱」が造る芋焼酎。
飲みやすくてクリアな酒質に仕上がる白麹&減圧蒸留で仕込まれています。
この七窪といえば、知る人ぞ知る芋焼酎。芋焼酎界のトップに君臨するプレミアム芋焼酎「3M」の一つである「魔王」を造った前村貞夫氏が完成させた芋焼酎なんです!
※魔王の定価は720mlで1,300円程度、1.8Lで2,800円程度ですが、現実的にはプレミア価格となっており、ネットでは720mlで3,400円程度、1.8Lで8,000円程度します。
前村氏は若い頃東酒造で修行をし、その後白玉醸造へ移籍、魔王を造り上げ、また東酒造へ戻ってきてこの「七窪」を完成させました。
「魔王を越える芋焼酎」を目指して造られたのがこの「七窪」。食事中にも美味しく飲め、芋臭くない、誰もが飲みやすい芋焼酎を目指している前村氏の情熱が伝わる逸品です。軽快な香りと喉越し、まろやかで爽やかな飲み心地は飲む人を魅了します。
前村氏が「七窪を越える芋焼酎は二度と造れない」とこぼしたとか。それほど自信と情熱を詰め込んだ1本です。
魔王ほど入手困難ではないですが、店頭ではたまに見かける程度です。お店を回るよりもネットで買う方が手っ取り早いかもしれません。
【商品名】七窪
【醸造元】東酒造(株) (鹿児島県鹿児島市)
【アルコール度数】25度
【使用麹】白麹
【蒸留方法】減圧蒸留
【価格】 720ml 1,600円 (税抜)
1,8L 3,050円 (税抜)
海
鹿児島県鹿屋市にある「大海酒造(株)」の人気芋焼酎。
「海」もフルーティーで飲みやすいと評判の商品。というのもこちらも「富乃宝山」と同じ「黄麹」で造られています。そして「富乃宝山」は常圧蒸留でしたが、こちらは減圧蒸留。さらに飲みやすくなっています。
というのも、この「海」の製造コンセプトは「芋焼酎が苦手な人、あまり飲めない人、初心者の方や女性のために」というコンセプトのもと造られています。まさに初心者の方にうってつけの商品です。
そして原料芋には「ベニオトメ」という芋を使用しています。丁寧に醸し減圧蒸留をすることでクセのない甘みと豊かな香りが生まれます。
黄麹特有の柑橘系でフルーティーな香り、軽快でクセのない飲み心地、ほのかに感じる甘さで、まさに究極の飲みやすい芋焼酎!
ロックや水割りはもちろん、意外とソーダ割りでも美味しく飲める1本。まずはソーダ割りから始めて、水割り、ロックと飲めば、さらに芋焼酎への間口が広がりそうです。
【商品名】海
【醸造元】大海酒造(株) (鹿児島県鹿屋市)
【アルコール度数】25度
【使用麹】黄麹
【蒸留方法】減圧蒸留
【原料芋】ベニオトメ
【飲み方】ロック、水割り、ソーダ割り
【価格】720ml 1,200円程度 (税抜)
1.8L 2,200円程度 (税抜)
晴耕雨読
鹿児島県南九州市にある「佐多宗二(さたそうじ)商店」が醸す銘酒。晴耕雨読と書き(せいこううどく)と読みます。
「晴耕雨読」に意味は広辞苑によると、「晴れた日は野に出て耕し、雨の日は家にいて読書する。自由な境遇をいう。」とあります。そういう暮らしをしたい、という理想の生活を指すこともあるそうです。
白麹の常圧蒸留で製造されています。そして川越と同様、ブレンドに米焼酎を使用!芋の風味を押さえクセが少なく軽快、まろやかなニュアンス。きれいな余韻に浸ることができ、キレのある味わいと芋の甘味も楽しむことができます。私の好きな銘柄の一つでもありますので是非飲んでみてください!
【商品名】晴耕雨読
【醸造元】佐多宗二商店 (鹿児島県南九州市)
【アルコール度数】25度
【使用麹】白麹
【蒸留方法】常圧蒸留
【原材料】黄金千貫
【価格】720ml 1,300円程度 (税抜)
1.8L 2,500円程度 (税抜)
まとめ 【結局どれがおすすめ?】
いかがでしたか?今回は初心者におすすめの、飲みやすい芋焼酎をご紹介しました。
いろいろご紹介した中でも総合すると、黄麹で造っている「海」か「富乃宝山」を始めにチャレンジしていただきたいです。
そのあと、「晴耕雨読」、「七窪」、「川越」を飲んでみてください。(もちろん、自分が飲みたい!と思ったものでも全然大丈夫です!)きっと、芋焼酎好きになるだろうと思います。
この記事が皆さんのお役にたてれば幸いです!